
JSPINでは、日本のスポーツ関連企業・団体の国際展開を後押しするため、国際スポーツ・健康産業専門展「SPORTEC Thailand 2026」と「SPORTEC 2026」を活用した国際市場開拓プログラムを実施した。本プログラムは、海外市場の現状を知り、現地や国内外の関係者との接点をつくりながら、自社・自団体の海外展開の可能性を探る取組である。

本プログラムはJSPIN事務局が企画し、タイ及び東京でのプログラムの運営を担った。本コラムの前編では、現地で見聞きした内容や参加者アンケートを踏まえ、STEP1としてタイ・バンコクで実施した3日間の活動を紹介する。
スポーツとウェルネスが集まるSPORTEC Thailand
2026年6月25日から27日まで、タイ・バンコクのBITEC(バンコク国際貿易展示場)で「SPORTEC Thailand 2026」が開催された。日本で長年開催されてきたSPORTECにとって、今回が初の海外開催である。
会場では、ジム・フィットネス関連の企業・団体に加え、ピラティス関連の製品やサービスを紹介するブースも多く見られた。イベントスペースでは、音楽に合わせて体を動かす「Zumba」や、ランニングとトレーニングを組み合わせたフィットネス競技「HYROX」も行われ、多くの来場者が参加していた。

隣接エリアでは、ウェルネス・ヘルスケア産業に特化した「Thailand Wellness & Healthcare Expo」も同時開催されていた。スポーツやフィットネスに加え、健康やウェルネスに関する展示が同じ会場に集まり、関連する産業の広がりを知る機会となった。

(左側緑のブースがWellness&Healthcare Expo、右側水色のブースがSPORTEC Thailand)

会場にはタイ国内の企業・団体だけでなく、タイ以外の国・地域からの出展も見られた。また、日本からも約10の企業・団体が出展していたほか、現地視察を目的に訪れた日本の関係者も数多く見られた。参加企業・団体にとっては、海外企業・団体の製品やサービスを確認し、交流するとともに、国際展開に関心を持つ日本の企業・団体と情報を交換する機会にもなった。

本プログラムには、異なる領域で事業や活動を展開する6つの企業・団体が参加した。各企業・団体の参加目的や現地で得られた気付きは、今後掲載する個別の参加者レポートで紹介する。
参加企業・団体
- ヤマツネ株式会社
- クライムファクトリー株式会社
- 一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブ
- 特定非営利活動法人スポーツセーフティージャパン
- Skylight Consulting Vietnam Co., Ltd.
- Vitalify Asia Co., Ltd.
JSPINブースとピッチを通じて生まれた交流
JSPINは、参加企業・団体が商品やサービス、活動内容を紹介する拠点として、SPORTEC Thailand 2026にブースを出展した。
ブースには、タイの企業・団体をはじめ、タイ以外の国・地域からも多くの来場者が訪れた。参加企業・団体は、それぞれの商品やサービスを紹介し、来場者の関心や現地でのニーズについて話を聞いた。

参加企業・団体は、JSPINブースで来場者を迎えるだけでなく、会場内の各ブースにも足を運んだ。現地で展開されている商品やサービスを見ながら、出展者と情報を交換した。こうした活動を通じて現地関係者の反応を確認し、今後につながる接点を見つけることも、本プログラムで重視した活動の一つである。

会期初日には、参加企業・団体の取組を海外の関係者に向けて紹介するピッチプログラムを開催した。会場には、タイ国内でスポーツ用品を販売する企業・団体、トレーニング施設の運営企業、国際大会の運営組織などが来場した。参加企業・団体は、それぞれ英語で発表を行い、発表後には来場者と意見を交わした。


現地での事業展開に必要な情報を集める
タイの市場やビジネス環境への理解を深めるため、SPORTEC会期中にサイドイベントを企画し、在タイ日本国大使館とジェトロ・バンコク事務所を訪問した。
訪問先では、タイの経済・産業動向、スポーツ市場の状況、日系企業・団体の進出状況、現地で事業を行う際の留意点などについて説明を受けた。展示会場で個々の企業・団体と交わす会話とは異なり、タイ市場の全体像や日系企業を取り巻く環境を知る機会となった。
参加企業・団体からも、それぞれの事業や関心分野に沿った質問が出され、活発な意見交換が行われた。タイの医療体制やスポーツ大会における緊急時の対応、スポーツや運動の様子をSNSで共有する現地の傾向など、話題は幅広いテーマに及んだ。
SPORTEC Thailandでの現地調査や来場者との対話に加えて、現地関係機関から最新のタイの市場や事業環境に関する説明を受けることで、展示会場で得た個別の情報を、より広い視点から捉え直し、俯瞰的に整理・考察する機会となった。

タイでの3日間を通じて見えてきたこと
タイでの3日間を通じて、参加企業・団体は展示会を視察するだけでなく、海外関係者との対話、自社・自団体の取組の発信、関係機関からの情報収集など幅広い活動に取り組んだ。
参加者アンケートからは、タイでの活動を通じて得られたこととして、主に次の5点が挙げられた。
- タイ・ASEAN市場に関する情報を現地で得ることができた
- 海外企業・団体との接点が生まれた
- 日本の参加企業・団体同士でも情報交換が進んだ
- 自社・自団体の取組を海外向けに説明する経験を得た
- 商品やサービスの海外展開について具体的に考えるきっかけになった
なかでも、海外展示会への参加経験がない企業からは、単独では踏み切りにくい現地参加のきっかけになったとの回答があった。また、「海外関係者への説明を通じて、自社・自団体の取組を海外向けにどのように伝えるかを見直したとの回答や、これまで国内市場を前提としていた事業についても海外展開の可能性を考えるようになったとの回答が見られた。
また、信頼できる現地パートナーの探索、言語面での対応、展示会後のフォローアップ、自社の商品やサービスが現地市場に合うかどうかなど、検討すべき点が挙げられるとともに、スポーツチーム、施設、競技団体への訪問機会を求める意見が寄せられるなど、今後の国際展開に向けた課題について認識を深めている様子が見られた。
今回のタイでの活動は、参加企業・団体が海外展開の可能性を探るとともに、今後の取組に向けた課題を整理する機会となった。
タイで得た経験を今後の取組につなげるため、翌7月8日から10日に開催されたSPORTEC東京ではJSPINとして初めて独自ブースを出展した。タイでのプログラムに参加した企業・団体の一部が東京でも活動し、ブースで自社・自団体の取組やタイでの活動について紹介したほか、セミナーや勉強会を通じてタイで得た経験を共有した。
後編では、東京での3日間の活動を紹介するとともに、タイと東京を通じて得られた成果と今後の展開について取り上げる。

【関連情報】
- 国際市場開拓プログラムの実施概要
- 国際市場開拓プログラム参加企業・団体の紹介
- 各参加企業・団体の個別参加者レポート(後日掲載予定)
- JSPIN公式LinkedIn「SPORTEC Thailand 2026」活動報告(Day1、Day2、Day3)
- JSPIN国際市場開拓プログラム開催レポート後編(後日掲載予定)

◇JSPIN事務局
JSPIN事務局のメンバーが、日本のスポーツ産業のさらなる国際展開を支援する活動等をご紹介します。
