
セレッソ大阪は2012年以降、タイで育成年代の指導、クラブの認知向上、スポンサー獲得などに取り組んできた。2016年にはヤンマーと共同でユースアカデミーを立ち上げ、2018年からはバンコクでスクール活動を展開している。10年を超える蓄積がある一方、次の成長には、現地企業や公的機関、異業種との新しい接点が必要だった。そこでJSPIN国際市場開拓プログラムに参加した。SPORTEC Thailand 2026への出展や日本大使館やJETROとの接点、参加者間の交流はセレッソ大阪に何をもたらしたのか。セレッソ大阪バンコク校コーチである朴政樹さんにインタビューを行った。
国際市場開拓プログラム参加の背景 ― タイでの10年と次の課題
―国際市場開拓プログラムに参加した背景を教えてください。
タイでの活動は2012年以降、10年を超えています。育成年代の指導だけでなく、クラブのブランディングやスポンサー獲得まで幅広く進めてきました。スクールも大きくなり、最も多い時期には1週間で平均350人から360人が参加していました。
一方、直近では日系企業の駐在員減少に伴い、日本人の子どもの数も減りました。そこで次の対象として考えたのが、タイ人の子どもや家庭です。インターナショナルスクールに通うタイ人の子どもとその家族などへの認知度を上げていくことを考えています。
SPORTEC Thailand 2026への参加を経て ― サッカーの外側にあった接点

―国際市場開拓プログラム参加前に不安はありましたか。
SPORTEC Thailand 2026はウェルネス系の企業、来場者が多い印象でしたので、サッカークラブとは少しずれるかもしれないと思っていました。ところが、実際にはスポーツ施設の運営者、テクノロジー企業、健康食品やアプリの事業者とつながることができました。施設運営者から「うちの施設を活用する方法はないですか」と声を掛けてもらったことは印象に残っています。
―サッカーと異業種の連携可能性は、どこに見えましたか。
スクールには子どもだけでなく、父親や母親も来ます。食育、健康、運動習慣まで考えれば、接点は広がります。例えばサッカークリニックに、健康関連の商品やサービスを体験する機会を組み合わせる。サッカーを一つのコンテンツとして、人をより豊かにする方向で考えれば、異業種とも組みやすいと気づきました。
今回の経験を通じて得られた学びとして、次回は事前にいくつか提案の型を用意して臨む必要があると考えました。これが今回の反省であり、同時に得られた教訓です。
―出展以外に本プログラムに参加して良かった点を教えてください。
一つには、日本大使館とJETROに接点を持てたことです。現地で活動していても、単独で公的機関へ相談に行くのは簡単ではありません。今回はプログラムの一員として訪問し、今後の展望について日本大使館とJETROで話すことができました。
また、SPORTEC Thailand 2026の他の出展社や参加者との対話を始めるきっかけをつくる効果があると感じました。
プログラム参加者同士の繋がり ― 国際展開を目指す仲間の横連携
―タイの現地企業との繋がり以外にも、成果はありましたか。
思いがけなかったのは、参加者同士の横の繋がりです。スポーツクラブとの接点を持つSkylight Consulting Vietnamさんとは「一緒にできることがあるかもしれない」と話し、ベトナム展開につながる可能性も見えました。また、「Atleta(アスリートや指導者向けのコンディション管理・チームコミュニケーションプラットフォーム)」を運営するクライムファクトリーさんからは、セレッソ大阪バンコク校でトライアルできないかという連絡も受けました。
―同じJSPINブースで活動したことも影響しましたか。
大きかったと思います。ばらばらに出展していれば深く話すところまで行かなかったかもしれません。同じ傘の下で3日間を過ごし、互いの今後の展望を話し合うことで関係性が深まりました。
今後の国際展開への展望 ― タイを起点に東南アジアへ

―今後の海外展開に向けた展望を教えてください。
究極の形としては、現地企業と協力しながら、ベトナム、フィリピン、マレーシア、シンガポールなどの現地の子どもを育成し、その国々の選手をトップチームに送り出し、選手が成長した後に母国のクラブでも活躍するような循環をつくりたいと思っています。そのためには、まずタイで成功事例をつくる必要があると考えています。
―今後、JSPINに期待することはありますか。
SPORTEC Thailand 2026のように、単独では参加しにくい場に出る機会を引き続き提供してほしいです。参加者同士の交流のような偶然の出会いが、新しい国際展開の機会に繋がります。タイに限らず、東南アジア全体を見据えた継続的な機会に期待しています。

◇朴政樹
所属・役職:セレッソ大阪所属、セレッソ大阪サッカースクール・バンコク校コーチ
経歴: 大学卒業後、母校の高校から街クラブ、大学、そして海外アカデミーまで、幅広いステージで指導者としてのキャリアを築く。高校での監督、街クラブ、大学でのコーチを歴任したのち、舞台を海外へ。また、東山高校コーチ時代には全国高校サッカー選手権大会での準優勝に大きく貢献した。2023年からはセレッソ大阪からの派遣スタッフとして、タイのバンコク校コーチに就任。スクール運営に深く携わる傍ら、有望なタイ人選手を育成するアカデミー「YHA」のメインコーチも兼任。さらに現在は、オランダ2部所属のアルメレシティとの国際連携係も務め、日本・タイ・ヨーロッパを繋ぐグローバルな指導者として次世代の育成に励んでいる。
【関連情報】
- 国際市場開拓プログラムの実施概要
- 国際市場開拓プログラム参加企業・団体の紹介
- 各参加企業・団体の個別参加者レポート(後日掲載予定)
- JSPIN公式LinkedIn「SPORTEC Thailand 2026」活動報告(Day1、Day2、Day3)
- JSPIN国際市場開拓プログラム開催レポート後編(後日掲載予定)
