先行事例

CHEZA：アフリカでの経験を活かし、現地での「スポーツアカデミー」の開校を目指す

2024.01.19

合同会社CHEZA（以下、CHEZA）は、共同代表2人のアフリカにおける就業経験から、スポーツの重要性・人気を目の当たりにし、アフリカでのスポーツアカデミーの開校を志した。スポーツを通じたネットワークを生かして、現地の人材の力も借りながら、現在は体力測定を行うイベント「アフリカチャレンジ」を実施。今後、日本国内で実施しているスポーツアカデミー事業をブラッシュアップしながら、数年以内にルワンダで開校することを予定している。

展開コンテンツ	イベント事業、スポーツアカデミー事業
展開先	アフリカ

アフリカとスポーツをかけあわせた2つの事業

CHEZAでは、スポーツに係る取組を2つ行っている。1つはアフリカチャレンジ、もう1つはスポーツアカデミー事業である。

アフリカチャレンジは、運動能力測定をベースとしたイベントをアフリカ諸国と日本国内で実施する取組である。アフリカにおいては、現地の子どもたちのタレント発掘を、日本においては、アフリカの子どもたちやアスリートに挑戦するという多文化交流のきっかけづくりを目的に実施されている。アフリカでは、現地の人材にもサポーターとして参加してもらいながら運営しており、2023年時点で、アフリカの6か国で実施している。

スポーツアカデミー事業は、CHEZA創業時からの構想だ。スポーツアカデミーでは、子どもたちに、スポーツを通して楽しく学んでもらうことを目指している。現在は、日本国内で、スポーツをしながら英語を学べるプログラムを提供しており、将来的には、ルワンダにおいて、スポーツ×教育・職業訓練を行うスポーツアカデミーの設立・運営を目標としている。

アフリカで働く中で気づいた教育におけるスポーツの重要性

CHEZA共同代表の半井氏、雨宮氏は、アフリカでの事業運営経験を持ち、その中で教育ビジネスにおけるスポーツの活用可能性を見出していた。半井氏は、政府間事業をコンサルティングする中で、地域が発展していくためには現地人材の育成が必要だと実感していた。育成といっても実践的なハードスキルだけでは十分ではなく、チーム一丸となってプロジェクトを円滑に進めるための、協調性などのソフトスキルが重要であった。そんな時に、自身の経験から、チームスポーツが人格形成に役立ったことを思い出し、スポーツに着目したのだという。

一方、雨宮氏は、NGOに所属し、難民キャンプ等での教育支援や緊急援助に携わっていた。単純に衛生指導と称したイベントでは人が集まらなかったものの、スポーツを掛け合わせたイベントを企画すると多くの人が集まったり、難民選手団としてオリンピックに出場した1人の選手が20万人の難民に勇気を与える光景を見たりと、スポーツの人気や可能性を再認識する機会が多かったという。

文化や慣習が大きく異なる地域であっても、スポーツが持つ純粋な楽しさは多くの人を引きつけ、受け取り方によっては一方的な価値観の押し付けと思われかねない教育・指導も、スポーツを通して伝えることで、自然に受け入れられた。

コロナウイルスの流行によるアフリカへの事業展開の延期と日本でのチャレンジ

アフリカでのスポーツアカデミー開設を考えていた矢先にコロナウイルスが流行し、計画を延期せざるを得なかった。そこで、ただ時が過ぎるのを待つのではなく、まずは日本国内でスポーツアカデミーを開設し、ビジネスモデルをブラッシュアップさせつつ実績をつくることを考えた。

ただ、日本国内の状況はアフリカとは全く異なり、習い事としてスポーツにお金を出す文化があるため、競合となるスポーツを教える教室・クラブの数も非常に多い。そこで、CHEZAならではの付加価値として、英語教育とスポーツを掛け合わせたプログラムを構築し、アフリカ系の海外人材をコーチとして起用した「GLORTS ACADEMY」を立ち上げた。現在は神戸を拠点に4つの教室を運営している。

アフリカ人材を起用したGLORTS ACADEMY、2歳児〜小学3年生を対象としている

加えて、アフリカチャレンジのイベントも日本国内で実施した。当初は、アフリカの子どもたちのタレント発掘を目的として筑波大学つくば国際スポーツアカデミー（TIAS2.0）と共同開発した運動能力測定プログラムであり、アフリカチャレンジ単体でのマネタイズは考えていなかった。しかし、スポーツ大会などのサイドイベントとして実施することが多くなったことで、適正な参加費設定、スポーツウェアやアフリカで作られた製品販売などにより、単体で黒字化できるコンテンツとなった。

日本国内でアフリカチャレンジを開催したことで日本に在住するアフリカ人のネットワークと繋がることができたことも成果だ。このアフリカ人ネットワークはアフリカ諸国と日本を繋ぐブリッジ人材そのものであり、CHEZAの人的ネットワークの更なる強化にも繋がっている。また、アフリカチャレンジを進めていく中で、徐々に企業活動の認知が拡がり、自治体やJICAから声がかかるなど、副次的な効果を見せている。

このような繋がりを有効活用しながら、CHEZAが実施する日本企業のアフリカ進出支援事業の基盤強化を行なっている。

待ち望んだアフリカでの事業展開

こうした日本国内での事業展開により実績・知見を貯め、コロナウイルスの流行が収まりつつあるタイミングで、現地にいるパートナーらと連携しながらアフリカでのアフリカチャレンジも実施し始めた。

海外において事業を展開する際は、信頼できる現地パートナーの獲得が重要であるが、特にアフリカにおいては、この人選を誤ると、取引の仲介人が増えて余計なマージンが発生したり、知らぬ間にこちらにとって不利な交渉が行われたりするなど、事業進捗が鈍る原因となることも少なくない。それゆえ、日本からアフリカへの進出を検討する際には、現地の慣習を熟知しており、重要人物へアプローチできるパートナーを見つけることが、ことさら重要になるのである。

CHEZAでは、これまでの事業等を通じて構築した人的ネットワークを活用し、現地で信頼できる心強いパートナーを仲間にしてきた。これらCHEZAが有するアフリカの人的ネットワークが、アフリカチャレンジを始めとする事業の大きなアドバンテージとなっている。

念願のルワンダでの「スポーツアカデミー」事業展開を目指して

将来的にはルワンダにスポーツアカデミーを創設する想定である。ルワンダは国をあげてスポーツビジネスに力を入れており、身体能力の高いアスリートを多く輩出している東アフリカにおいて、競技施設などのスポーツインフラが比較的充実している国で、スポーツ産業の発展が期待できる。このことから、最初のスポーツアカデミーの設立にふさわしい場所だと考えており、既に現地のスポーツ関係者らとのネットワークを築き、弊社アカデミー事業構想について協議を重ねている。

他方で、まだまだアフリカのスポーツ産業市場は発展段階であり、日本でのモデルのように純粋な「習い事」としてスポーツアカデミー事業をマネタイズすることは難しい。スポーツで生計を立てるレベルにまで到達できる人はごく一部であることから、現地の人にとってはスポーツに金銭を投じるハードルが非常に高いからだ。そのためCHEZAは、スポーツアカデミーで職業訓練も行うことで、スポーツを通じたソフトスキルの教育に加えて、生計を立てるためのハードスキルを身に着けられるようなプログラムの提供を目指す。実際、これまでにルワンダ大学や現地政府機関にて、人材育成を目的としたトレーニングワークショップを開催するなど、現地ニーズや技術レベル、設備環境に合ったプログラムを構築しており、ソフトコンポーネントの準備も進んでいる。

さらに、2023年にルワンダ最大のスポーツアカデミーとパートナーシップを締結し、現地アスリート人材の支援・育成、CHEZAが日本国内で運営するアカデミー「GLORTS ACADEMY」との連携、人材交流などを進めていくことなどで合意しており、今後現地で新たな事業がスタートする予定である。

ルワンダでのスポーツアカデミー開校のためにこれら現地での取り組みを進めつつ、まずは、日本国内でのスポーツアカデミー事業の拡大を進める。海外スポーツ市場に切り込むにあたり、より安定した収益基盤を構築することに加え、実績づくりとビジネスモデルのブラッシュアップを行い、アフリカ展開を推し進めていく。

成長市場であるアフリカと日本の橋渡し

弊社自身、国内においてスポーツアカデミーを運営し、現在その海外展開を検討しつつ、国内および海外でのスポーツイベントの企画・実施、蓄積したノウハウ・人的ネットワークを活用した企業・団体様の海外進出支援や情報収集業務などを行なっております。大学との共同研究事業や行政・国際協力団体との連携などの実績も有しており、スポーツに関連する幅広いステークホルダーの皆様と関われることを楽しみしております。弊社知見が少しでも皆様のお役に立ち、国内スポーツ産業の海外展開に寄与できますと幸いです。

合同会社CHEZA 共同代表半井真明氏

弊社の展開地域であるアフリカでは、著しい経済成長に伴い、スポーツ分野も近年注目が増しています。アフリカ出身アスリートの世界での活躍のみならず、現地のスポーツ産業においても今後盛り上がりが期待されます。アフリカにおけるビジネスでは、信頼できるパートナー選定、贈賄、安全管理などさまざまなリスク要因も伴います。弊社は、アフリカで長く事業経験を有する代表2名が、現地の商慣習のノウハウやネットワークを活用して人材育成や企業のアフリカ進出支援を通した日本とアフリカの橋渡しに取り組んでいます。