コラムをご覧いただきありがとうございます。前回に引き続き、第2回をお届けいたします。
今回の第2回では、
③日本の「強み」は、「サービス」「機能性」「開発力」
④ 5年後10年後が予測できる、パリの「Premiere Vision」展
をお伝えいたします。
③日本の「強み」は、「サービス」「機能性」「開発力」
日本企業が世界マーケットに、その存在感をアピールできるのは「強み」の訴求です。トヨタ自動車やSONY、ISSEY MIYAKE、UNIQLOなど世界の消費者から注目を浴びる企業は、「サービス」「機能性」「開発力」の3点が強いからです。ご自分の企業・製品に落とし込むと、その3要素の有無が勝敗を分けます。言い換えれば、その中核的要素(コアコンピタンス)が差別化できる大きな要素となります。
スポーツという観点から深掘りしますと、海外のスポーツ店と比較すると日本では店頭スタッフの教育が行き届いています。専門的なアドバイスや商品タグについている機能表示などの説明も群を抜いています。シューズの試し履き一つを取りましても、お客様任せの海外店舗に比べ、日本の店頭スタッフは至れり尽くせりです。
並行して、国内繊維メーカーの機能開発、国産技術の粋をふんだんに製品に反映している点が「日本の強み」です。自信をもって世界にアピールしてください。
④5年後10年後が予測できる、パリの「Premiere Vision」展
毎年2月と9月に開催されるパリの「Premiere Vision」展は、併催される 「Tex World展」とともに注目に値する素材展です。2月に翌年のSpring/Summer、9月にFall/Winterとアパレル業界やスポーツ業界の各種展示会よりも半年早い、いわばトレンドの発信源となります。
モノづくりに携わるデザイナーたちはもちろんのこと、ファッション誌や各種メディアも参画され、ここで発信される新たな「いぶき」「風」「キーワード」が半年後の製品に反映されてきます。
スポーツ製品と言いましても、繊維メーカーの提案する合成繊維や天然繊維と、ボタンやファスナー、靴紐など服飾雑貨と呼ばれるアクセサリーで造られています。従って、ウェアやシューズの材料となる新製品をチェックしておかないとトレンドに乗り遅れることになります。
機能的な開発や発明コーナーも設けられており、アパレル分野のみならずスポーツ用品全体へのヒントがたくさん見つけられます。コロナの影響もあって、リアル展と並行してオンライン展がSNSを通じても観ることができますので、注視しておくべき展示会だと想います。
繊維の本場であるフランスやイタリア、イギリスはもとより、日本からも東レ、帝人、旭化成や、小松マテーレ、SHINDO、YKK、豊島、STYLEMなど多くのテキスタイル企業、服飾雑貨企業も出展されています。
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今回のコラム第2回では「7つのキーワード」の中で、
③日本の「強み」は、「サービス」「機能性」「開発力」
④ 5年後10年後が予測できる、パリの「Premiere Vision」展
をお届けしました。
次回のコラム第3回では、
⑤どの業界でも有効活用したい「インフルエンサー」
⑥「利己主義」人間でなく「利他主義」スタッフの育成
⑦最強軍団を作るために必要なリクルート活動「人材6段階説」と「4つのワーク」
について紹介したいと思います。
◇戸井田 朋之(といだ・ともゆき)
株式会社スポーツシンクタンク 代表取締役社長 CEO
1953年生まれ。元順天堂大学スポーツ健康科学部客員教授。文化服装学院・文化ファッション大学院大学客員講師。2024年パリオリンピック夏季大会国際アドバイザー。パリ在住。
慶應義塾大学卒業後、株式会社デサントに入社。入社3年目でフランスのパリに駐在し、ヨーロッパの主たるリゾートスキー場のスキースクールユニフォームの受注活動を行い、現在の欧州販売網の基礎を作った。1980年からIOC(国際オリンピック委員会)会長となった故サマランチ氏に息子のように可愛がられ、1984年サラエボ・オリンピック開会宣言の場でのデサントウェア着用シーンが世界中に報道され、一気に同社を国際ブランドとデビューさせた牽引者。
今まで計21回、オリンピックの現場で世界のトップアスリートやIOC(国際オリンピック委員会)を支え、並行して英仏語に留まらず多国語マスターの能力を活かしてデサントブランドの国際戦略を先陣。帰国後は、企画部長やSP販促部長を歴任し、取締役就任後は新たに地方自治体との官民コラボレーションにも成功。過疎地指定されている群馬県みなかみ町を復活させ経済産業省から表彰される。
また一方ではDA PUMP、モーニング娘。、加藤あい、優香など新人タレント発掘の傍ら、スポーツ業界のCMに初めて芸能人を起用するなど、業界きっての積極的な「仕掛け屋」。そして再度のヨーロッパへ赴任。パリ、ローザンヌ、ロンドンで駐在後、2017年7月起業独立し、現在は国内外の大学で教鞭をとる傍ら、海外企業・国内企業複数社とコンサルティング契約を結び活動中。JALの機内食「うどんde SKY」の名付け親。
スポーツ産業の国際戦略には、情報力・販売力・物流力・交渉力そして継続的マーケティング力が必要と説き、グローバルな視点に立つモノの見方は、シャープで素晴らしいと評価されている。
※所属・肩書等は2021年12月の執筆当時のものです