
昨年度に引き続き、ISPO Munich(2024年12月3日(火)~5日(金))にスポーツ庁としてJSPINジャパンエリアを設置し、このエリアに日本企業5社と出展いたしました。その様子を事務局の考察を含め、レポートいたします。
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今年の ISPO Munich の特徴
ISPO事務局によると、2024年の出展企業数は50ヵ国から2,300社、参加者は113か国から55,000人が参加した。2023年の参加者が60,000人であったため昨年と比較して減少したものの、熱気は昨年と同様であった。
ISPO Munich2024は、「LOVE EVERY CONTACT」というスローガンのもと、スポーツ、健康、ファッション、そしてテクノロジーが融合する場を提供した。注目された点として、リテールとサステナビリティ、ヘルスとファッション、テクノロジー/AIとスポーツの拡張というテーマであった。特徴としては、その守備範囲の広さ。アウトドア各種用品、スポーツ用品、スポーツ・ファッション・ アクセサリだけでなく、サーフィン、スケート、登山・ハイキング、フィットネスなど、スポーツの最先端が集まっていた。特に注目する点として、怪我予防のための没入型VRやスポーツ体験を行うことができるVRなどのテクノロジーがみられる点は大いに今後の可能性を感じるものであった。
欧州ではサステナビリティと循環型経済は、常にキーワードに上がっていた。各エリアでは、展示以外に、ISPO事務局や各国企業が行うプレゼンテーションが行われ、多くの聴衆が集まり、注目度の高さが一目で分かる状況であった。

JSPINジャパンエリア出展企業
スポーツ庁が設置したJSPINジャパンエリアには、下記5社が出展した。
- AddElm TECHNOLOGY株式会社(アパレル企業)
- イイダ靴下株式会社(アパレル企業)
- 株式会社ザオバ(トレーニングマシン開発・販売)
- 原田産業株式会社(※ISPO Munichではアパレル製造・販売部門で出展)
- 株式会社西川精機製作所(※ISPO Munichではユニバーサルスポーツ用品製造販売で出展)
参加企業は、新規販路の獲得や新商品の発表等のそれぞれの目標に向けて3日間活動した。

出展企業の目標は達成
JSPINジャパンエリアには、日本企業の特徴である高品質の製品に興味を持ち取引を繋げたいバイヤーを中心に、日本企業に興味を持つ人が訪問した。日本企業の品質や評判の高さは、世界から認識されていることを体感できた。
事務局が行った出展後アンケートでは、参加した日本企業が、ISPO出展における目標を達成することができたと回答した。以前からテキスタイルに強い展示会と定評があったが、JSPINジャパンエリアの出展企業のうちアパレルに関する企業3社の満足度は特に高く、ISPO Munichがアパレル部門に強い展示会であることを再認識した。今後、海外に展開していきたいアパレル関連企業にとって、ISPO Munichは有効な展示会と言える。
また、JSPINジャパンエリアだけではなく、ISPO Munich2024に直接日本から出展していた企業の多くは、過去のISPO出展経験を有することや前年度に会場の雰囲気などを把握するための視察に訪れていることが判明した。海外の展示会出展を検討するにあたり、いきなり出展するのではなく、会場の雰囲気の理解やマーケットリサーチ等の下作業を丁寧に行った上で投資した方がよいと認識した。
ISPO Munich2024を訪れてみて感じたこと
1:中華圏企業の躍進
今年も中国パビリオンがISPOで最大のエリアを確保していた。最寄りの地下鉄の駅から、会場入り口に向かうまでの間にも、中国パビリオンへ人を誘導するバナーが掲げられており、存在感は抜群であった。実際に中国パビリオンを歩いてみると、新技術を新しく宣伝するというよりも、製品を低コストで作れるということを最大限にアピールしている傾向が強かった印象である。
新たな気づきとしては、中国色を抑えた企業の展示だ。工場製品だけでなく、デザイン性を意識した製品やアルファベット表記のスタイリッシュなアパレル製品もあり、以前とは違った中国の底力を見せつけられた。
2:サステイナブル
昨年と同様、商品そのものや商品の展示方法まで、サステイナブルへの意識を強く感じた。この特徴は欧米や日系企業にのみ該当し、中華圏や南アジア系の企業においてサステイナブルをアピールしている企業は少なかった。


まとめ
今回、JSPINジャパンエリアへの出展をとおして、日本企業の商品開発力やそこに含まれる技術力は、世界に誇れることを再認識した。一方で、世界に対する発信力という点においては、JSPINジャパンエリアを含めて今後各企業が注力していくべき領域であると強く感じた。
これだけの大規模展示会では、販売代理店やバイヤーなど様々なステークホルダーが集まる。世界各国の企業が出展する中で、いかに優位性のある「日本」をうちだしていくか、さらには、いかに自社のPRにつなげていくか。ISPO Munich2024を訪れ、その答えは企業の数だけあると感じられた。“どのようなターゲット”に、“どのように訴えるのか”といった戦略をたてるうえで、「百聞は一見に如かず」の言葉通り、実際に出展し、その結果を検証していくことが近道かもしれない。
※現地の詳細情報に興味がある方は、JSPIN事務局までお問い合わせください。

◇JSPIN事務局
JSPIN事務局のメンバーが、日本のスポーツ産業のさらなる国際展開を支援する活動等をご紹介します。