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3x3.EXE PREMIER:7チームから99チームへ。日本発祥の3人制バスケのプロリーグが見せる世界的な広がり【後編】

2026.02.19

「スーパースポーツゼビオ」「ヴィクトリア」「ゴルフパートナー」など、全国にスポーツ小売業を展開しているゼビオグループ。同グループの戦略的マーケティングを担い、スポーツ振興活動や社会貢献活動の中心的役割を果たすべく、2011年に設立されたのが「クロススポーツマーケティング株式会社(以下、XSM)」である。

XSMは、ゼビオグループが協賛するスポーツイベントの企画、グループが保有するマーケティングデータベースの構築、さらに宮城県仙台市の「ゼビオアリーナ仙台」や、青森県八戸市のアイスアリーナ「FLAT HACHINOHE」の運営などを手がけているが、その主要事業のひとつが「3x3.EXE PREMIER(スリー・エックス・スリー エグゼ プレミア)」だ。

これは、2014年に世界で初めて「プロリーグ」として国際バスケットボール連盟(FIBA)に承認、日本バスケットボール協会(JBA)に公認された世界唯一の3人制バスケットボールのプロリーグである。日本のわずか7チームからスタートした「3x3.EXE PREMIER」は、2025年現在では5カ国99チームへと拡大し、世界でも類を見ないリーグとしてXSMの事業の中心的な柱となっている。

2020年東京オリンピックで3人制バスケットボールが正式種目化される前からプロリーグを運営してきたXSMは、なぜ日本国内にとどまらず「5カ国」にまでリーグを拡大することができたのか。“グローバルプロリーグ”と称される今、彼らが見据える未来とは何か。

【前編】では、「3x3.EXE PREMIER」というリーグの立ち上げや概要、また海外進出の足掛かりになった経緯などを紹介した。後編では海外での広がりとリーグが持つ今後のビジョンについて。

オーストラリアとタイ。海外勢の初優勝から見る変化

2019年に初めて日本以外の国が「3x3.EXE PREMIER」に参戦して以来、これまで一度も海外チームがリーグの頂点を掴むことはできず、毎年のように日本チームが優勝を勝ち取っていた。オリンピックで正式種目化がされる一方で、まだまだ世界では3x3に特化できる環境が完全に整備できていなかった。「それでも3x3という新しいスポーツ競技のオリンピック選手を自国から輩出したい」。その思いを持った国が「3x3.EXE PREMIER」に加盟し3x3に特化できる環境を創り上げていった。

競技環境を整え始めている段階の海外チームに比べ、2014年からプロリーグとして高い強度で試合をしてきた日本チームは、特に3x3という競技特性を理解していた。だからこれまでは毎年のように日本チームが優勝を勝ち取っていた。しかし月日が経つごとに海外加盟国の3x3に対するノウハウや参加する選手数は年々増加。競技の練度は増し、男女ともに上位の成績を残せるようになってきたが、2025年についに歴史が変わった。男子はオーストラリア、女子はタイがそれぞれ優勝を勝ち取ることができたのだ。

3x3.EXE PREMIER 2025 PLAYOFFSで優勝した両雄

男子で優勝を勝ち取ったオーストラリアは、そもそもバスケットボールの強豪国。3x3.EXE PREMIERに加入したのは2024年のことで、初年度から優勝候補として名を挙げていた。勝てなかったのは「独自のアプローチが足りなかった」と、オーガナイザーのMatt Hollard氏は語る。Hollard氏は続けて「PREMIERは非常に競争が激しい。2年連続でのPLAYOFFS敗退を受け、私たちはあらゆるプログラムを見直しました。3x3に特化したトレーニングを導入しフォーマットに合わせた戦術分析に投資をし、さらにはチームの結束力やメンタル面の強化も重視しました。その結果が今年の優勝に直結したと確信している」と語った。

2025シーズンで優勝した彼らに、なぜ「3x3.EXE PREMIERに加盟したのか?」と聞けばHollard氏は「3x3バスケットボールは世界的に急速に成長しており、オーストラリアに新しい可能性をもたらすと確信したからです。オーストラリアの選手が国際舞台で活躍できる道を開き、地域コミュニティを盛り上げ、そしてこのダイナミックな競技でリーダーシップを発揮することが私たちの目的。次世代を刺激し、競技レベルを引き上げるための戦略的な一歩が、リーグへの加盟でした。また、今年の優勝は誇りある瞬間でしたが、これは始まりに過ぎません。私たちのビジョンは、オーストラリア全土に3x3バスケットボールを広め、持続可能な育成の道を築き、世界最高レベルで競い続けることです。若いアスリートを刺激し、オーストラリアを3x3の代名詞にすることを目指しています」と、力強くコメント。5人制でも3人制でも、オーストラリアは、間違いなく今後業界をリードしていくだろう。

優勝後の乾杯タイムで喜びをかみしめる瞬間。写真右側、黒いTシャツを着用しているのがオーストラリアのオーガナイザーのMatt Hollard氏

「対照的」とも言えるのは、女子のタイの優勝である。
2025年11月時点のFIBAの国際ランキングで34位であるタイは、2019年の加盟以来優勝は遠い目標だと考えられていた。女子は11位の日本と21位のニュージーランドの3か国が加盟しており、タイは3か国の中で最も順位が低いからである。

それでも今年は優勝に向けて、タイの3x3代表が集ういわば「オールスターチーム」で出場をしていたものの、彼女たちも予選敗退。優勝を勝ち取ったのは、もう一つのダークホース的存在の若いチームだった。

「確かに、これまでの成績は決して喜べるものではありませんでした。しかしスポーツとは勝敗だけではないと私は考えています。戦い、成長することこそが本質です。毎年、チームや選手たちが戦略を模索し調整を重ねています。チームが強力な陣容を整えるのは容易ではないと承知していますが、懸命に努力しついに成功を収めました。優勝に至るまでに積み重ねてきた努力やエネルギーこそが、私たちをもう一つ上のステージに連れて行ってくれたと確信しています」と、オーガナイザーのThotsawat Telan氏は語る。Telan氏はPLAYOFFSの当日、ゴールエンド側で声を枯らし、大きな国旗を掲げて応援していた。今年にかける思いは特別だったのだとか。そして、2018年から参入し続けたことで得られたものもあると、Telan氏は少し口角を上げて話を続ける。

「私たちは、3x3.EXE PREMIERへの加盟を新たなエンターテインメントスポーツの構想だと捉えました。これは国家レベルでタイに利益をもたらす可能性を秘め、プロジェクトの中核として国際協力も包含するものでした。タイで新しく刺激的な事業を始める絶好の機会と捉え、私たちはリーグへの参入を進めることにしました。

結果的に、タイ国内の人が多く集まる商業施設を中心に多くの場所で3x3を開催できています。私たちは会場オーナーと緊密に連携し、イベント企画や戦略立案を通じて最大の成果を出せるよう尽力しています。これにより良好な関係を構築でき、会場側からのフィードバックも非常に好意的です。現代で最高のアーバンスポーツの1つでもある3x3という競技自体が急速に成長している中で、今後も高品質なイベントを維持し更なる改善を図っていきたいと考えています。」

最後にTelan氏は「3x3は非常に一般的なスポーツですが「3x3.EXE PREMIER」は極めてユニークなプロフェッショナルレベルのリーグです。主催者は非常にハイレベルな競技会を構築し、トッププレイヤーを集結させ、ローカルな3x3を国際レベルの3x3へと成長させる機会を得られます。このレベルのグローバルな取組こそが、3x3.EXE PREMIERの強みです」と、これまでを振り返りつつ、新たな挑戦への思いを胸に秘め会場を後にした。

ラストショットを決めてブザーが鳴り、優勝が決まった瞬間。写真左側、タイの国旗を掲げるのがタイのオーガナイザーのThotsawat Telan氏

プロスポーツの大衆化

プロスポーツ選手といえば、大谷翔平選手(MLB・ロサンゼルス・ドジャーズ)のようなスターを思い描く。しかし「スポットライトが当たるのは競技の頂点だけ」という状況を変えたいと考えたのも、「3x3.EXE PREMIER」が生まれた背景のひとつだ。

同リーグが推奨するのが「デュアルキャリア」。平日は会社員として働き、週末はプロ選手として試合に出る。リーグと選手は契約関係にあり、出場した試合数に応じて“出場給”が支払われる。「その競技だけで生活できる人だけがプロではなく、競技によって報酬を得られるなら、それもまたプロスポーツ選手である」。

この考え方は海外にも広がり、2025年の男子MVPを受賞したカイ・ウッドフォール選手は、医師(研修医)と3x3のデュアルキャリアを歩む異色の存在だ。将来は麻酔科医かICU勤務を志望しており、医師としても選手としても大成することが期待されている。

3x3.EXE PREMIER 2025 PLAYOFFSでMVPを獲得したオーストラリアのカイ・ウッドフォール選手。右の写真は彼が医師として働いている際のもの(本人より提供)

日本でも、芝浦工業大学から大学院へ進学した新田菜美選手が、交換留学先のニュージーランドで3x3.EXE PREMIERに参戦し上位成績を収め、PLAYOFFSのために日本に戻る“逆輸入”ケースを実現した。

「留学先の選択肢がある中で、3x3.EXE PREMIERの加盟国で留学先でも3x3をプレーできると思ったので、ニュージーランドを選んだ。留学前にもDMで連絡を取り合って、快くチームに受け入れてくれたのも非常に嬉しかった」

このように、日本人選手が海外でプレーし、外国籍選手が日本で活躍する—— そんな循環も生まれつつある。

右が2024シーズンの写真でニュージーランドのSWISH.EXEでプレーした際の新田菜美選手。左は2025シーズンに日本に帰国し、日本のFLOWLISH GUNMA.EXEでプレーした際のもの

「3x3.EXE PREMIER」は、「3x3.EXE PREMIER JAPAN」、「3x3.EXE PREMIER AUSTRALIA」といった具合に、プロ野球で言う「セ・リーグ」「パ・リーグ」のカンファレンスを国ごとに分けている。通常のプロスポーツでは、国をまたいで同一名称のプロリーグが存在することはほぼ無いに等しいが、この形を取っていることにも理由がある。前述の通り、そもそも3x3をプレーできる環境や仕組みがない国が多い。その国に対して、ノウハウや仕組みを提供する代わりに加盟金を頂戴するというビジネスモデルだ。これが「3x3.EXE PREMIER」が世界に広がっている理由とも言えるだろう。

さらに、日本においては「オーナー制度」も大衆化をしている。一般的に「プロスポーツチームのオーナー」と言えば、資産家や富豪しかなれないというイメージを持つ方が多いが、「3x3.EXE PREMIER」に関しては「普通自動車」を買う程の金額で「プロスポーツチームのオーナー」になることができる。

実際、現在のオーナーたちを見渡すと、20代の若き経営者や街の整骨院のオーナー、元アスリートなど多種多様である。加えて、地域活性化や地域貢献を目指すチームや子供たちに向けたスクール活動を行うチーム、あるいは世界を目指すチームなどさまざま。多くのオーナーの要望に応えるべくリーグを設計していく中で、現在は99チーム、約1,000名の選手がプレーしている。

XSMとしては、チームが増えれば選手が増え、選手が増えればスポーツがより身近なものになると考えている。全世界が知るスーパースターではないかもしれないが、その街で人気の選手を作ることはできるかもしれない。その選手に憧れてスポーツを、3x3を始める子供たちが増えるかもしれない。そのような「誰もが気軽にスポーツに触れられる環境を世界中で増やしたい」と考え、今後も日本のみならず世界中で「3x3.EXE PREMIER」を通じたスポーツの大衆化を行っていく方針だ。すでに想像を超える出来事が次々と起きている今、3x3を通じて世界中の人が少しでも幸せになれるよう、リーグは今後も尽力していく。

ボールとリングさえあれば、誰でも気軽に参加できて楽しめる3x3を、自分らしいスタイルで実行(※)できるように。今後もひとつでも多くの国の人々が、3x3を通じて豊かになれるように。

4つのカテゴリーで運営する「3x3.EXE」ブランド。日本国内のみならず世界各地で広がりを見せ続けていく

(※)「3x3.EXE」の「EXE」は「Executable(=実行可能な)」の略である。「3x3.EXE」は、「3x3というスポーツを気軽にエグゼしよう」というスローガンのもと、競技レベルの向上や競技そのものを楽しむことなど、3x3の普及・環境づくりを目指している。

名称:3x3.EXE PREMIER(スリー エックス スリー エグゼ プレミア)
設立:2014年
主催:クロススポーツマーケティング株式会社
承認:国際バスケットボール連盟(FIBA)
公認:日本バスケットボール協会(Japan Basketball Association)

■トータルブランド「3x3.EXE」について

EXE(エグゼ)とは、Executableの略で、実行可能なという意味。
3x3のトータルブランド「3x3.EXE」に「ボール1つとフープ1つがあれば、すぐに誰でも楽しめる3x3を、自分らしいスタイルでエグゼ(実行)しよう!」という想いを込め、さまざまな事業を通じてその価値向上による3x3の普及・環境づくりを目指しています。

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