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日本発祥「3&3 Mixed Volleyball」:混合スポーツの真の魅力と世界大会(日本混合バレーボール連盟 大江芳弘)

2024.01.23

男女の比率が1対1、男女3人ずつでプレーする6人制混合バレーボール「3&3 Mixed Volleyball」は日本発祥。筆者である大江が、男女混合でバレーボールを楽しむことができ、なおかつ男女それぞれの特性が生きるように、男女比率を含むルールの研究を経て、2005年より大会を開催し、競技スポーツとして確立したものである。現在では、日本で毎年100以上の大会が開催され、10,000人を超える競技者が参加するスポーツへと発展している。

他国での混合バレーボール大会事情とそこで受けた感銘

アメリカでは、男女混合2&2のバレーボール大会が盛んに開催される等、男女混合バレーボールの取組は、ルールを変え、世界中の様々な地域で発展を遂げてきている。

2017年、日本混合バレーボール連盟は、SNSを通じてロシアのバレーボール団体の主催者と繋がり、「ロシアで開催する男性4人女性2人の混合バレーボールネーションズカップに日本代表チームに出場してほしい」という依頼を受けた。早速選手を選抜し、日本代表チームを送り出した。バレーボールをプレーする環境自体は日本と変わらなかったものの、装飾、動画中継、セレモニーでの民族舞踊、パーティー、盛大な表彰式など、我々NPO法人が行える以上のクオリティの大会運営に大きな感銘を受けた。

コロナ禍での第1回混合バレーボール世界大会の開催

ロシアで受けた感銘を基に、2017年頃から計画を立て、2020年3月5日~8日に千葉県館山市で第1回混合バレーボール世界大会「The 1st 3&3 Mixed Volleyball World Cup」を開催することとなった。奇しくも新型コロナが流行し始めたタイミング頃であり、参加予定チームから辞退が出てしまい、最終的にはロシア、カザフスタン、在日朝鮮、香港、ハワイ、アメリカ、日本の7つの国と地域が参加する大会となった。

近隣の体育館が閉館になる中、「明日にも体育館の使用停止を言い渡されてしまうかもしれない」と不安に駆られながら国内情勢を見守った。開催に対して疑問を持つ声が聞こえ始めた中、大会5日前に中止の決断をしようとしたが、仲間の意見で思い留まり、計画していた様々なイベントを中止し、無観客にて大会を開催した。

大会開催中も、いつホテルから外出禁止を言い渡されるかもしれないと怯えながら、検温チェック、マスク着用、アルコール消毒など、当時できる対策を徹底した。大事もなく大会が無事に終わり、参加した選手や役員、関係者からも笑顔が見られたときはとても安堵したが、いつ外出禁止になるか、体育館が使用できなくなるかと不安を抱えながら、数々のコロナ対策をした苦労を思うと、思い起こすのをためらうほどの思い出になったのも事実だ。

そして、第2回混合バレーボール世界大会の開催へ

コロナ禍が明けて初めて、2024年2月23日~25日に千葉県館山市で、第2回混合バレーボール世界大会「The 2nd 3&3 Mixed Volleyball World Cup」を開催する。

第1回大会から2年半が経ち、まだまだコロナの影響は根深く、多くの人たちがコロナ禍で夢や希望を抱きにくい時間を経験している中、スポーツ界も我慢の時間が続いた。社会人として団体スポーツを続けていた人は半減し、中学校・高校の部活動加入者も大幅に減った。大会やイベントは中止が相次ぎ、社会人の団体スポーツはとても弱っている。そのような中で、苦い思いをした場所で第2回を開催するのは、第1回大会が終了したとき、協力してくれた館山市民・千葉県民の皆様に、恩返しとして楽しんでもらおうと誓ったからだ。

また、現在は円安真っ只中。世界各国からの来日需要が過去最高に高まっているこの状況を利用すべきと捉え、2017年から続いているアマチュアバレーボール界の絆を大切にするためにも、2024年はベストイヤーだと考えた。さらに、2月は館山市の観光のオフシーズンとなり、開催地への負担も少なく済むことから、2024年2月に第2回混合バレーボール世界大会を開催することに決めた。

2023年10月時点で「The 2nd 3&3 Mixed Volleyball World Cup」にエントリーしている国と地域は、インド、台湾、カザフスタン、オーストラリア、韓国、在日朝鮮、在日フィリピン、香港、ハワイ、イギリス、アメリカ合衆国、日本である。前回を大幅に上回る規模の大会になる。

世界大会をより盛り上げるTATEYAMAウェルネスEXPO

2024年の世界大会「The 2nd 3&3 Mixed Volleyball World Cup」では、展示会を同時開催する。その名も、「TATEYAMAウェルネス*1 EXPO: 輝く人生のデザインと世界混合バレーボールの連携(仮称)」だ。世界一の長寿国である日本ならではの栄養や身体に関する知識や、新たな価値観を提供することにより、大会参加者、大会観戦者、市民・県民の方々にさらに喜んでいただけると考えている。

*1 身体の健康、精神の健康、環境の健康、社会的健康を基盤にして、輝く人生をデザインしていく、自己実現(荒川雅志,2017)

EXPOの主目的は、EXPO参加者たちにウェルネスの真髄を体験してもらい、その重要性を再確認してもらうことである。今回のイベントでは下記のようなイベントを計画している。

  • 身体の健康チェックエリア:理学療法士、管理栄養士、看護師が出展
  • 日本の伝統文化ワークショップ:本物の体験を通して日本の文化を学ぶ
  • キッチンカー:訪れる人々をワクワクさせる食の提供
  • スポーツニュートリション体験:スポーツ栄養を学び体験する

スポーツとウェルネスは密接な関係がある。ウェルネスの定義にも含まれる「社会的健康」の観点から考えると、男女が1つのチームを組成し、まったく同じルールの中で競う混合バレーボールはその最前線にいるともいえる。また、スポーツはウェルネスを実現するために必要な要素であるまちづくりやSDGsとも連携することができる。今回のTATEYAMAウェルネスEXPOは、これらの要素を融合させる場として機能し、健康とウェルネスに新しい視点を提供するだろう。その中心には「輝く人生のデザイン」というテーマがある。このEXPOを通して、ウェルネスの真髄を体感し、自分自身の輝く人生をデザインしてほしい。

※上記の写真はイメージです

世界大会を開催する意義と目的

私たちは混合バレーボールを夢のあるスポーツにしていきたいと考えている。例えば、男女平等の観点から、従来のスポーツではなかなか実現しえなかった、男女が同じルール、同じチームで競うことを重視している。女性が得点を決めたら男性より点数が加算されたり、男性のみジャンプサーブを禁止されたりするなどの性別制限ルールは敢えて作っていない。混合バレーボールは発展途上のスポーツで、まだまだ世界的に普及しきれていないが、老若男女が平等に楽しめるこのスポーツを世界中の人たちに認知してもらいたいと考えている。

国際平和と健康、夢のある社会を実現していく為に、老若男女すべての人が活躍、共存共栄できる21世紀型の混合スポーツの素晴らしさを発信することを目的として、世界大会を開催する。混合バレーボールの認知や参加者が拡大することで、ジェンダー平等の促進につながると信じている。SDGs、ノーマライゼーションの考え方を取り入れ、健康と福祉、ジェンダー平等、高齢者・障害者対応なども意識してThe 2nd 3&3 Mixed Volleyball World Cupを開催するので、是非応援してほしい。

大江 芳弘(おおえ・よしひろ)
特定非営利活動法人日本混合バレーボール連盟 代表

参加制限や参加方法がわからない大会が多く、誰もが気軽に参加できるバレーボール大会を目指し、2002年に自主大会を開催。2005年には、特定非営利活動法人日本混合バレーボール協会を設立。男性3人、女性3人の6人で構成されたチームで老若男女問わず楽しめるバレーボールを考案し、混合バレーボール競技規則を定め、競技人口の増加、競技の普及に努める。2023年時点では、特定非営利活動法人日本混合バレーボール連盟理事長、特定非営利活動法人マグナムカップ理事長、日本エレパーツ株式会社取締役を務める。

葭原 祥平(よしはら・しょうへい)
TEAM PTRD JAPAN理学療法士

厚生労働大臣認定 国家資格 理学療法士/TEAM PTRD JAPANリーダー。大学時代は理学療法士全国模試1位、理学療法士協会最優秀賞受賞。卒業後は初台リハビリテーション病院入職し、回復期~生活期のリハビリを担当。臨床現場と臨床研究を経験。 医療現場で病気になってから後悔してしまう方々出会い、『未病』『健康増進』についての価値観を発信していきたいと感じ起業。現在は、『日本を元気に健康に』を理念にTEAM PTRD JAPANを発足。日本のスポーツ、ヘルス、ニュートリションの文化を創造していく活動を行なっている。


※所属・肩書等は2023年12月の執筆当時のものです。

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