株式会社meleapは、ARを用いたテクノスポーツ「HADO」の開発提供及び運営を行っている。HADOとは、空間認識技術やヘッドマウントディスプレイ、モーションセンサーなどのウェアラブル技術によって高い臨場感を実現したITとスポーツが融合した新感覚テクノスポーツ。輸出時の制約が小さいITサービスであることを踏まえ、現地のパートナー企業と代理店契約を結びライセンス販売を行うビジネスモデルを採用し37ヶ国に事業を展開。海外売上比率は全体の約6割を占める。
展開コンテンツ | ARスポーツ「HADO」(スポーツテック) |
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展開先 | 37ヶ国 |
言語やハード施設などの制約の小ささを活かす
HADOは言語障壁がないためどの国でも導入しやすいという特徴があった。またロケーションベースのソフトウェアパッケージの販売が主であり、ハード施設の制約は小さい。そのためビジネス開始当初からグローバルでのビジネス展開を想定していた。
最初に海外展開先となったのは中国。中国国内に販路を持っていた国内企業と連携し、営業を行った。その結果、中国は海外で最も大きな市場となっている。連携している現地のパートナー企業は、数千万単位でHADOに投資し、店舗を作ったり、イベントを実施したりなど、精力的に事業を推進している。時には、日本よりも早いスピードで事業が進む面があり、中国で知見・実績を作ってから日本に逆輸入することもある。
海外の現地パートナー探索には、SNSの広告運用に注力
その後多くの海外諸国に事業を展開し、現在の展開先は37ヶ国に上る。主な成功要因はSNSでの広告運用に注力し現地パートナーを探索してきた点である。魅力的かつ高クオリティのプロモーション動画を作成し、SNS広告でのリードを獲得するという戦略をとった。現地法人での営業や展示会での出展よりも多くの企業と繋がることができ、その後もオンラインで商談を行い契約まで至っている。
一方で、海外展開を満足に推進できなかった経験も有する。例えば2018年にはアメリカの現地法人を設立し、海外での事業展開の加速化を図った。アメリカ市場は規模が大きくいろいろなチャンスを拡大できるだろうとの意図だったが、攻略するのが難しかった。
現地の文化・商慣習を把握している人材が営業した方が、商談成功率が高くなるだろうとの狙いだったが、人材獲得が難しかった。国内と比較して海外での採用が特に難しいのは、ポテンシャルのある人材を見極めるための知見がないことやリファレンスでの獲得が難しい点。加えて、一人の人材を採用するためのコストが高く、試行錯誤の余地があまりない点にあった。
アメリカ、中東、ヨーロッパ、中国などで展示会への出展も行ったことがあるが、契約までたどり着いたケースは多くない。現在は、国際展開の手段をSNS広告運用に完全に切り替え、日本法人を主体にオンラインをベースとした効率的な海外展開体制を採用している。
現地パートナーの重要性
◇担当者コメント
国際展開においては、良いパートナーとなる現地企業と出会えるかも重要。現地企業がどれくらい投資をするか、責任をもってマーケティングをしてくれるか、によってHADOがその国で人気になるかどうかが決まる。
パートナー選定は、ロケーションベースや施設を保持しているか、施設展開ノウハウを持っているか、などの事業実績やスキルに加えて、HADOのマーケティングのモチベーションを高く持っているか、などを見て検討している。国内外問わず、総合スポーツエンタメ施設や、カラオケボックス、イベント企業、フィットネス施設等にHADOが導入される事例が多い。また、それぞれの施設のコンセプトによってHADOの導入の仕方も変わっている。
テーマパークにおいてはアトラクションの一つとして扱われ、フィットネスであれば運動用のコンテンツ、企業内では社内レクリエーションとしてのコミュニケーション手段となるなど、いくつかのコンセプトがある。
現時点での海外売上比率は約6割だが、今後も積極的に海外で販売し、更なる海外展開を進めていく方針である。
株式会社meleap CEO 福田浩士氏
東京大学大学院卒業後、株式会社リクルートに就職。2014年に起業し株式会社meleapを設立。「かめはめ波を撃ちたい」という想いからAR技術を活用し、HADO(ハドー)を作りだす。37ヶ国にHADOの店舗を展開。2016年からはAR/VR初の大会「HADO WORLD CUP」も開催。2020年には観戦者参加型の競技システムを立ち上げ、スポーツの新しい応援体験を広めている。「テクノスポーツで世界に夢と希望を与える」というビジョンを掲げ、サッカーを超えるスポーツ市場の創造を目指す。
#スポーツテック #SNS広告 #ライセンス販売
※所属・肩書等は2021年11月の取材当時のものです