毎日新聞社は、タイ、インドネシア、ベトナムの現地政府や現地パートナー社と連携し、駅伝大会(絆駅伝)を開催・運営。多くの現地企業も集まる駅伝大会で、ブース展示やランチ会などを通じて現地企業と日本企業のマッチングに繋がる場を提供しており、駅伝大会の開催・運営を通じて現地国と日本のパートナーシップの活性化に貢献している。
展開コンテンツ | スポーツイベント(スポーツイベントの開催・運営) |
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展開先 | インドネシア、タイ、ベトナム |
現地新聞社・政府との連携による開催・運営
毎日新聞社は約20年にわたり「世界のお巡りさんコンサート」を開催しており、その関係で2013年、インドネシア・ジャカルタで同コンサートを現地初開催した。その際、日刊紙コンパス社と今後の協働の取り組みを検討する中で、インドネシアでは急速な経済発展の中で健康や長生きに対する関心・ニーズが高まってきていることやランニングがブームにもなっていたこと、またインドネシアには「和」を大事にする文化もあり、駅伝の性質ともマッチするのではないかといった背景から、2014年に日本オリジナルのコンテンツである駅伝大会の開催に至った。大会は盛り上がりを見せたことからも継続開催し、タイやベトナムと他の地域へも広がることとなった。
タイでは、アユタヤへの日本人の誘致を目指すタイ国政府観光庁に対し、バンコクに支局を持つRKB毎日放送が毎日新聞社の駅伝大会を紹介した事がきっかけで2017年の大会開催に至っている。アユタヤでの大会はタイ国政府観光庁が主催で、毎日新聞社が運営に協力した。
ベトナムでは、幹部がベトナム大使と交流があり、その中で駅伝大会開催の話が出たことをきっかけに2018年に第1回大会を開催。ベトナム公安省が主催で、現地パートナー社のトイチェ社と毎日新聞社の2社で運営している。
現地法人と日本企業のネットワーキングを支援
多くの現地企業、大会参加者を巻き込むための大会PRについては、当初は日系企業の商工会議所から広報を始め、現地の邦字紙に広告を出したほか、Facebookでの実況中継を行うなどSNSも取り入れた。駅伝大会に様々な現地法人が参加したこともあり、現地法人と大会に協賛・参加している日本企業(スポンサー企業)を繋ぐため、夜店を並べた前夜祭や現地法人とのランチ会を開催するなど、大会開催をきっかけとしたネットワーク支援も実施している。
特に、インドネシア、タイ、ベトナムの3か国とも健康に対する意識が高まっていることから、大会参加者に対する大会参加者に対して健康的な生活づくりを訴える場としても活用されている。駅伝というコンテンツ自体が和を生み出す特性を持つことも有り、駅伝大会が日本企業と現地ネットワークのコミュニケーションを生み出すプラットフォームとしての役割も果たしている。
スポーツを通じてSDGsにも取り組む
毎日新聞社は、環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニアのワンガリ・マータイ氏と共同で提唱し、2005年から「MOTTAINAIキャンペーン」を実施し、SDGsに関する取り組みを進めている。駅伝大会を通じた多様な方々の活躍の報道もSDGsに係る取り組みの一つとなり、スポンサーからの反応も大きい。スポーツを通じたSDGsの取り組みでは、言葉が通じなくても多くの人々を巻き込み、団結を生み、笑顔になれるということが一番の力となっている。
海外での大会開催による効果とは
駅伝大会開催を通じて、ベトナムのトイチェ社やインドネシアのコンパス社のトップとの交流が生まれたことで、海外大手新聞社とのネットワーキングの対外アピールにも繋がり、日本企業と現地法人のコミュニケーションハブになることができている。これにより、日本企業の海外展開支援及びさらなるスポンサー企業の巻き込みも期待されている。
日本文化の押し付けではなくローカルニーズの反映が重要
◇担当者コメント
現地での大会開催に向けては、現地スタッフとの交流においても文化や習慣の違いもあり、コミュニケーションの難しさを実感することがありますが、日本文化の押し付けではなく現地スタッフや、現地に住む日本人の方々の意見やニーズをどのように聞き取り、反映するかが鍵となります。毎日新聞社も現地のパートナー企業経由で、多くの現地の方が大会に何を求めているのかについて念入りに情報収集し、大会開催に活かしています。
毎日新聞社 国際事業室 天野園子氏
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※所属・肩書等は2020年9月の取材当時のものです